物価上昇・インフレ計算
同じ商品のかごの将来価格・今のお金の購買力・累計物価上昇率・実質リターンを計算します。
計算式:
- 物価倍率:
倍率 = (1 + i)n(i= 年あたり物価上昇率、n= 年数)。 - 同じかごの将来価格:
将来価格 = 金額 × 倍率。 - 今のお金の購買力:
購買力 = 金額 ÷ 倍率。 - 累計物価上昇率:
累計 = 倍率 − 1。 - 実質リターン(任意):
実質リターン = (1 + 名目) ÷ (1 + i) − 1。名目リターンが空欄のときは表示しません。
物価上昇はこうして金額を蝕む
物価も利息と同じように複利で効く
物価上昇は、貯蓄する側にとって逆向きの複利です。同じ商品のかごは (1 + i)n 倍の価格になります。100万円を物価上昇率2%で置くと、20年後には1,485,947円、30年後には1,811,362円が必要です。2つ目の10年は、すでに上がった価格の上にさらに複利がかかるため、増え方は最初の10年より大きくなります。利息が利息の上に乗るのと同じ理屈です。
購買力は同じ倍率を逆向きに読む
購買力は倍率で割って求めます。100万円 ÷ 1.0220 = 672,971円。名目5%のリターンがあっても、2,653,298円 ÷ 1.0220 = 1,785,593円 が実質の価値です。名目で増えても、物価上昇がそれを上回れば購買力は減ります。この2つの出力は独立ではなく、掛け合わせると必ず元の金額の2乗に戻ります。
期間を延ばすとどうなるか
100万円を物価上昇率2%で10年置いた場合、同じかごは1,218,994円、今のお金の購買力は820,348円、累計物価上昇率は21.90%です。20年では累計48.59%、30年では81.14%まで膨らみます。期間が倍になっても影響は倍では済みません。長期の試算ほど、率のわずかな違いが結果を大きく変えます。
物価上昇率0%のとき
物価上昇率が0%なら倍率はちょうど1です。将来価格も購買力も1,000,000円のままで、累計物価上昇率は0.00%、実質リターンは名目リターンと同じ5.00%になります。マイナス(デフレ)は対象外なので、価格が横ばいの場合は0を入力してください。
複利と物価上昇: 名目リターンと実質リターン
複利計算は「残高がいくらになるか」という名目の問いに答えます。しかし物価上昇の後で本当に知りたいのは「その残高で何が買えるか」です。両者をつなぐのが実質リターンです。
正確な式は 実質リターン = (1 + 名目) ÷ (1 + 物価上昇率) − 1 です。名目5%・物価上昇率2%なら実質は 2.94% で、引き算の 3% ではありません。低い率では近い値になりますが、率が高いほど差が開きます。
同じ関係は金額にも当てはまります。100万円を名目5%で20年運用すると 2,653,298円 になり、これを 1.0220 で割ると実質 1,785,593円 です。実質2.94%で直接複利運用した結果と一致します。実務的には、まず複利計算ツールで名目ベースの結果を出し、その結果をこのページで物価調整するか、実質リターンを入力して計算し直すのが分かりやすい手順です。
お金が半分になるまでの年数
物価上昇は購買力を、複利成長が金額を倍にするのと同じ速さで半分にします。したがって72の法則がそのまま使えます。物価上昇率2%なら 72 ÷ 2 で約36年、正確には ln(2) ÷ ln(1.02) ≈ 35.0 年です。3%なら約23.4年、4%なら約17.7年。率が10%を超えるあたりから近似の誤差が無視できなくなるため、その水準では使わないでください。
購買力グラフの見方
グラフには2本の曲線が表示されます。上昇していくのが「同じかごの将来価格」、下落していくのが「今のお金の購買力」です。どちらも同じ (1 + i)n 倍率を逆向きに読んだものなので、年が進むほど2本の開きが大きくなります。名目で増える資産は実質ではもっと緩やかな上昇になり、その差が物価上昇分です。
エクセルと TI-84 で物価上昇を計算する
このページの出力はすべて (1 + i) の累乗なので、表計算でも関数電卓でも同じ数字が出ます:
- エクセル 将来価格:
=1000000*(1.02)^20= 1,485,947円。30年なら=1000000*(1.02)^30= 1,811,362円。 - エクセル 購買力:
=1000000/(1.02)^20= 672,971円。10年なら=1000000/(1.02)^10= 820,348円。 - エクセル 実質リターン:
=(1.05)/(1.02)-1= 2.94%。元になる名目の額は=1000000*(1.05)^20= 2,653,298円、物価調整後は 1,785,593円。 - TI-84 の手順:
1000000*(1.02)^20を入力してENTER→ 1485947。- 購買力は掛け算を割り算に変えて
1000000/(1.02)^20→ 672971。 - 実質リターンは
(1.05/1.02)-1→ 0.0294、つまり 2.94%。
計算例
例 1: 100万円・物価上昇率 2%・20年・名目リターン 5%
amount = 1000000、rate = 2、years = 20、nominal = 5。倍率 = 1.0220 = 1.485947。同じかごの将来価格: 1,485,947円、今のお金の購買力: 672,971円、累計物価上昇率: 48.59%、実質リターン: 2.94%。
例 2: 同じ100万円を30年に延ばす
years = 30 に変えるだけです。倍率 = 1.0230 = 1.811362。同じかごの将来価格: 1,811,362円、今のお金の購買力: 552,071円、累計物価上昇率: 81.14%、実質リターンは率が変わらないので 2.94% のままです。期間が1.5倍になっても、累計の物価上昇は1.7倍近くまで膨らみます。
例 3: 同じ100万円を10年で見る
years = 10 に変えます。倍率 = 1.0210 = 1.218994。同じかごの将来価格: 1,218,994円、今のお金の購買力: 820,348円、累計物価上昇率: 21.90%、実質リターン: 2.94%。短期では目減りは小さく見えますが、複利なので期間に比例して増えていきます。
例 4: 物価上昇率 0%・20年・名目リターン 5%
rate = 0 にします。倍率 = 1.000000。同じかごの将来価格: 1,000,000円、今のお金の購買力: 1,000,000円、累計物価上昇率: 0.00%、実質リターン: 5.00%。物価が横ばいなら名目リターンがそのまま実質リターンになります。
例 5: 名目リターンを空欄にする
任意項目の nominal = を空欄にすると、物価上昇側だけを表示します。同じかごの将来価格: 1,485,947円、今のお金の購買力: 672,971円、累計物価上昇率: 48.59%。実質リターンの欄は、誤解を招く数字を出す代わりに非表示になります。
関連ツール
物価上昇・インフレ計算は「この金額は将来いくらの価値になるか?」に答えます。関連する疑問:
- 「名目ではいくらまで増える?」 — 複利計算ツールで積立を含む残高の伸びを計算し、その結果をこのページで物価調整すると実際の購買力が分かります。
- 「将来の金額を今の価値に直したい」 — 現在価値計算ツールは任意の割引率で将来のキャッシュフローを現在価値に割り引きます。
- 「毎月積み立てたらどうなる?」 — 将来価値計算ツールは一括と定額積立の両方を扱います。
- 「お金が半分になる速さを知りたい」 — 72の法則で、上の 72 ÷ 率 の近似を解説しています。
よくある質問
物価上昇による将来価格はどう計算しますか?
(1 + 物価上昇率)を年数で累乗し、金額を掛けます。倍率は (1 + i)n なので、100万円を物価上昇率2%で20年置くと 100万円 × 1.0220 = 1,485,947円 になります。30年なら 1,811,362円 です。2つ目の10年は上がった価格の上にさらに複利がかかるため、最初の10年より増え方が大きくなります。
将来価格と購買力の違いは何ですか?
同じ倍率を逆向きに読んだものです。将来価格は 金額 × (1 + i)n で、同じかごが後いくらになるかを示します。購買力は 金額 ÷ (1 + i)n で、今のお金が後どれだけ買えるかを示します。物価上昇率2%が20年続くと、100万円のかごは1,485,947円になり、今の100万円の購買力は672,971円まで下がります。
実質リターンはどう計算しますか?
実質リターン = (1 + 名目リターン) ÷ (1 + 物価上昇率) − 1 です。名目5%・物価上昇率2%なら (1.05 ÷ 1.02) − 1 = 2.94% となります。100万円をこの実質2.94%で20年複利運用した結果は、名目5%で増えた 2,653,298円 を 1.0220 で割った金額と同じです。
実質リターンは「名目 − 物価上昇率」ではだめですか?
引き算は近似であり、正確な答えではありません。物価上昇は元本全体の購買力を割り算で目減りさせるからです。名目5%・物価上昇率2%では引き算だと3%になりますが、正確な実質リターンは2.94%です。差は約0.06ポイントですが、長期間では無視できません。低金利の暗算には十分ですが、実際に判断するときは (1 + 名目) ÷ (1 + 物価上昇率) − 1 を使ってください。
物価上昇率が0%やマイナスの場合は計算できますか?
物価上昇率0%は計算できます。倍率が1になるため、将来価格と購買力はどちらも1,000,000円のまま、累計物価上昇率は0.00%、実質リターンは名目リターンと等しく5.00%になります。マイナス(デフレ)は対象外です。価格が横ばいの場合は0を入力してください。
物価上昇率にはどの数字を使えばよいですか?
見出しの指数ではなく、モデル化したい支出に合う率を使ってください。長期的な計画では2%前後、短期的には直近の実績値が目安です。倍率は複利で効くため、1ポイントの違いは1年では小さく、30年では大きくなります。低い率と高い率の2回計算して幅を見るのが、1つの数字を予測として断定するより安全です。