正味現在価値(NPV)計算ツール
複数のキャッシュフローを入力して、正味現在価値(NPV)と内部収益率(IRR)を計算します。
| 期 | キャッシュフロー | 割引係数 | 現在価値 | 累計 CF |
|---|
数式:
NPV = Σ CFt / (1 + r)t— すべての期 t について合計。IRR:NPV をゼロにする割引率 r。数値的に二分法で求めます。- 判断基準:
NPV > 0またはIRR > 割引率なら、そのプロジェクトを採用します。
NPV と IRR の仕組み
NPV が表すもの
正味現在価値(NPV)とは、複数の将来のキャッシュフローを現在の価値に換算し、合算した上で投資額を差し引いたものです。NPV がプラスなら、そのプロジェクトは割引率以上の収益を生む、すなわち「価値を生み出している」と判断できます。NPV がマイナスなら、割引率に届かず、実行すべきではありません。
IRR が表すもの
内部収益率(IRR)とは、NPV をちょうどゼロにする割引率です。プロジェクトの損益分岐収益率で、ハードルレート(資本コストまたは必要最低収益率)と比較します。IRR > ハードルレートなら、そのプロジェクトは採用価値ありと判断します。
符号の規約
規約上、キャッシュの支出(出資)はマイナス、収入(回収)はプラスで表します。初期投資は通常 t = 0 でマイナス、回収は後の期でプラスとなります。ツールの初期行もこの規約に従っており、任意の値を編集できます。
IRR が信頼できないケース
非標準的なキャッシュフロー(プラス・マイナスが交互に現れる、レバレッジド・プロジェクトなど)では、IRR が複数の解を持ったり、解がなかったりします。その場合は NPV に判断を委ねてください。本ツールは二分法を採用しており、−99.99% 〜 1000% の範囲で単一の解を返します。解が見つからない場合は「—」と表示されます。
NPV から IRR を求める方法
IRR と NPV は同じ公式 NPV = Σ CFt / (1 + r)t の別の読み方です。IRR を求めるには、NPV をちょうどゼロにする割引率 r を解きます — その r が IRR です。多期間のケースでは代数的な解式がないため、数値的に求めます。
- 試行錯誤。 ある割引率で NPV を計算し、増減させていきます。デフォルト例(−1,000 万円、その後 +300 万 / +400 万 / +500 万円)で 10% を使うと NPV = −210,374 円(マイナス)。よって IRR は 10% 未満。レートを下げていくと NPV は増加し、8.90% でゼロを跨ぎます — これが IRR です。
- 二分法。 NPV がプラスのレートとマイナスのレートで挟み込み、間隔を半分ずつ狭めていきます。本ツールは内部でこの手法を使用しています。
このツールは両方を一度に表示します。割引率を入力すると NPV が計算され、IRR の行にはその入力に関わらず損益分岐レートが表示されます。
TI-84 電卓での NPV / IRR 計算
TI-83 / TI-84 グラフ電卓にも、本ページと同じ NPV・IRR 公式が Finance アプリに組み込まれています。
APPSを押し、1:Finance…を選んで、7:npv(または8:irr(を選択。- NPV:
npv(rate, CF0, CFList)— 第 1 引数の rate は % で入力。npv(10, -10000, {3000, 4000, 5000})は −210.37(本ページの例で単位を千円とした場合)。 - IRR:
irr(CF0, CFList)— rate 引数は不要。irr(-10000, {3000, 4000, 5000})は 8.90(%)。
中括弧 { } とコンマはサンプルどおりに入力してください。CF0 は期 0 のキャッシュフロー、CFList はそれ以降のリストです。数値は本ページの計算例と同じなので、ハンドヘルドの結果と本ツールの結果を数秒で相互検証できます。
計算例
例 1:シンプルなプロジェクト
本日 1,000 万円を投資(t = 0: −1,000 万円)、その後の 3 年間にわたり +300 万円 / +400 万円 / +500 万円 を回収。割引率 10% のとき、初期行で NPV = −210,374 円(約 −21 万円)、IRR = 8.90%。IRR < 10% なので、このプロジェクトはハードルレートをクリアしません。
例 2:期間を追加する
「+ 期間を追加」をクリックして新しい行を挿入。新行は自動的に t = 既存の最大値 + 1、金額 0 になるので、必要な値に編集してください。スケジュール、合計、IRR はその場で再計算されます。
例 3:行を削除する
任意の行の × をクリックすると削除されます。スケジュールと IRR が更新されます。注意:プラスまたはマイナスのどちらか一方のキャッシュフローをすべて削除すると、IRR は未定義(NPV をゼロにする r が存在しない)になり、結果が「—」になります。
関連ツール
NPV と IRR は、異なる時点で発生する複数のキャッシュフローに対して、その一括前払金額との価値比較を行うためのツールです。次の 3 つの場面で真価を発揮します。
- 設備投資の判断。 工場の建設費 5 億円を期 0 で支出、年 1.2 億円のキャッシュフローを 6 年間。割引率 8%。NPV がプラスなら、その投資はハードルレートを満たします。
- 期間の異なる投資の比較。 NPV はすべてのキャッシュフローを「今日の価値」に揃えるため、期間の異なるプロジェクトも客観的に比較できます。
- 不動産賃貸の収益分析。 頭金を t = 0 の支出、月々の家賃収入をプラス、最終的な売却価格を最終期のプラスとして入力し、採算を判定します。
単一の将来のまとまった金額(ストリームなし)を扱う場合は 現在価値計算ツール を、固定の月次返済で柔軟性がない場合は ローン計算ツール を、定額の積立投資には 複利計算ツール をご利用ください。
よくある質問
IRR が「—」と表示されますが、なぜですか?
キャッシュフローがすべてプラス(またはすべてマイナス)であるか、NPV をゼロにする割引率が探索範囲(−99.99% 〜 1000%)の外にある、という理由が考えられます。キャッシュフローを見直すか、符号の規約(支出はマイナス、収入はプラス)を確認してください。
NPV と IRR はどちらを信頼すべきですか?
多くの意思決定で両者は同じ結論を導きます。NPV はドル建て(あるいは日本円建て)の付加価値を直接測れるため、ファイナンスの教科書では NPV が推奨されます。IRR はハードルレートとの比較や、非財務系ステークホルダーへの説明に適しています(「このプロジェクトは 18% で回る」など)。
割引率はどのように選べばよいですか?
同程度のリスクを持つプロジェクトの資本コストが基準です。企業プロジェクトでは加重平均資本コスト(WACC)、個人投資では同等のリスクで他に得られるであろう収益率を基準にします。同じリスク階級のプロジェクトを同じレートで比較するのが原則です。
NPV から IRR を求めるには?
IRR とは NPV をゼロにする割引率のことです。多期間には代数的な解式がないため数値的に解きます — 試行錯誤で NPV がゼロを跨ぐレートを探す、または二分法を用います。本ツールでは IRR を自動計算(割引率の入力不要)します。詳細は 「NPV から IRR を求める方法」 または 「TI-84 の節」 をご覧ください。